学習法

行政書士試験 独学ロードマップ:1年で合格を目指す月別スケジュール

「ロードマップ」という言葉で検索すると、それっぽいスケジュール表はたくさん出てくる。でも、自分の生活に当てはめて考えようとすると、どこかで詰まる。

「基礎期は3ヶ月」と書いてある。でも、自分は今何月で、試験まであと何ヶ月なのか。社会人として働きながら1日何時間を捻出できるのか。計画通りにいかなくなったとき、どこを削っていいのか。

そこまで答えてくれる記事が少ない、というのがこのページを書いた理由だ。

ここでは、2026年11月8日(日)実施の行政書士試験を目標に、12月スタートの1年間の独学ロードマップを月別に整理する。「なぜこの順番なのか」の理由も一緒に渡すので、自分のペースに合わせて調整しながら使ってほしい。


全体像を把握する ── 1年を3つのフェーズに分ける

行政書士試験の独学ロードマップは、大きく3つのフェーズに分けて考えるのが基本だ。「何をいつ学ぶか」を先に決めておくことで、迷いなく進められるようになる。

フェーズ時期主な学習内容
基礎期12〜3月(4ヶ月)民法→行政法→憲法→商法の順でテキスト1周
応用期4〜9月(6ヶ月)過去問演習→記述式対策→全科目総仕上げ
直前期10〜11月(2ヶ月)模試2〜3回+弱点補強+本番
表1: 1年間の独学ロードマップ全体像(12月スタート→11月本試験)

① 基礎期(12〜3月)── 全科目のインプット


テキストを読み込んで「全科目の概要を頭に入れる」時期。民法→行政法→憲法→商法の順で進める。「なんとなく意味がわかった」程度で先に進んでいい。全科目を一度通ることが最重要。

② 応用期(4〜9月)── 過去問中心のアウトプット


合否を最も左右する6ヶ月。択一式から始め、6〜7月以降は記述式対策も並走させる。解いて→解説を読んで→テキストで確認のサイクルを繰り返す。

③ 直前期(10〜11月)── 模試と弱点つぶし


模試を2〜3回受けて自分の弱点を洗い出し、集中的につぶす。新しい知識をインプットする時期はもう終わっている、という感覚が大切。

月別スケジュール詳細(2026年11月8日試験から逆算)

12月 ── 民法からスタートする理由

目標: 民法のテキストを1周(条文の読み込みを含む)

民法から始めるのには理由がある。民法は「暗記」ではなく「理解」が求められる科目で、時間をかけないと定着しない。契約・物権・相続・家族法など、日常生活に近い内容が多いぶん、「なんとなくわかった気」になりやすいのも落とし穴だ。

行政書士試験では民法の配点は76点(行政書士試験研究センター)。択一式と記述式の両方に出題され、記述式は40点分を占める法令等科目の中核だ。この科目に時間が足りなくて後悔する受験生が多いため、最初に着手することをすすめる。

1日1〜2時間を確保できる社会人であれば、12月の1ヶ月で民法テキストを1周できるペースを意識してほしい。「完璧に理解してから次に進む」は禁物だ。社会人が1,000時間を確保する具体的な方法を読む

1月 ── 行政法に集中する

目標: 行政法テキストを1周(行政手続法・行政不服申立て・行政事件訴訟法・国家賠償法・地方自治法)

1月は行政法に絞る。行政法は配点が112点(行政書士試験研究センター)と、試験全体の得点(300点満点)の約37%を占める最重要科目だ。ここを制することが合否に直結すると言っても過言ではない。

行政法は暗記要素が強く、理解よりもインプット量がものをいう科目だ。テキストを読み込みながら、条文の流れを頭に入れていこう。「行政手続法・行政不服申立て・行政事件訴訟法」の3つは特に問題に出やすく、繰り返し出題されるパターンがある。

民法と行政法の2科目で配点は188点。試験全体の60%超を占めるため、この2科目の仕上がりが合否をほぼ決める。

2月 ── 憲法・基礎法学を並走させる

目標: 憲法テキストを1周 + 基礎法学の概要を把握

2月は憲法と基礎法学を学ぶ。憲法は配点28点、基礎法学は8点と、民法・行政法に比べると比重は軽めだ。ただし憲法は択一式で安定して得点を取りやすい科目でもあるため、捨てるのは得策ではない。

この時期は、民法と行政法の復習も並行して続けてほしい。12月・1月に一度読んだ内容が、少しずつ頭の中で整理されていく時期でもある。

3月 ── 商法・基礎知識でインプット完走

目標: 商法(会社法)テキストを1周 + 基礎知識の出題範囲を把握

商法(会社法)は配点20点で、4問出題される。出題範囲が広い割に配点が低く、学習コストパフォーマンスが悪い科目として知られている。この段階では「深追いしない」のが鉄則だ。

3月末で全科目の「1周目」が終了。基礎期のゴールに到達する。

4〜5月 ── 択一式の過去問周回(1科目ずつ)

目標: 民法・行政法の過去問を科目別に3周

4月から応用期に突入する。テキストを捨て、過去問を中心に勉強する。「行政書士試験 独学 過去問 いつから 始める」と検索している人がいるが、答えはここだ。インプットが一通り終わったら、すぐに切り替えてほしい。

「3周する」というのは目安だ。大事なのは周回数より「なぜ間違えたかを言語化できるようになること」。

6〜7月 ── 弱点科目の強化と記述式に初めて触れる

目標: 全科目の過去問演習 + 記述式の基礎対策

6月から全科目の過去問演習に広げる。そして、この時期から記述式の対策を始める。択一式の基礎がある程度固まっているからこそ、記述式の学習が効果を発揮する。

合格率が毎年10〜15%台で推移する理由は、独学者が記述式や一部の応用問題に対処しきれないケースが多いことにある。合格率の構造を詳しく確認する

8〜9月 ── 全科目の総仕上げ過去問

目標: 過去問5〜10年分の2周目 + 記述式の模範解答を繰り返し書く

9月末時点のチェックポイント:

  • 択一式の過去問で、正答率が安定して60%を超えているか
  • 行政法と民法の記述式問題で、部分点が取れるレベルに達しているか

10月 ── 模試を2〜3回受ける

目標: 模擬試験を受験し、弱点を洗い出す

10月は本番を想定した実戦練習の時期だ。資格予備校(LECやTAC、アガルートなど)が実施する公開模試を2〜3回受けることをすすめる。模試の目的は「点数を取ること」ではない。本番と同じ3時間で解く体力をつけること、そして自分の弱点を客観的に把握することだ。

11月 ── 試験前2週間の過ごし方

目標: 弱点の最終確認 + 知識の整理と定着

試験前2週間は、新しい知識を詰め込む時期ではない。これまで積み上げてきた知識を整理して、本番で確実に引き出せるようにする時期だ。試験本番(11月8日)の前日は、早めに寝るのが最優先だ。


科目の優先順位 ── 「得点効率」で考える

行政書士試験の独学ロードマップを設計するうえで、科目の優先順位を「得点効率」の観点から整理しておく。

行政法が最重要な理由(配点112点)

行政法は配点合計112点(行政書士試験研究センター)。300点満点のうち37%以上を占める最重要科目だ。さらに行政法は、出題されるパターンがある程度決まっており、過去問の繰り返しで得点が上がりやすい。「範囲は広いが、出るところはだいたい決まっている」という意味では、勉強した分だけ結果に反映されやすい。

民法を早めに始める理由(理解に時間がかかる)

民法は配点76点で、条文数が多く、概念を「理解」していないと問題が解けない。「直前期に民法を詰め込んで仕上げる」は基本的に難しい。だから12月スタートの一発目に民法を置く。

商法・基礎知識は最後でよい理由

商法(会社法)の配点は20点と低く、出題範囲が広い割に試験での比重は小さい。基礎知識は56点あるが、文章理解と情報通信・個人情報保護を押さえれば合格基準点(24点)はクリアできる。

科目配点学習開始深さ
行政法112点1月最優先
民法76点12月最優先
憲法28点2月標準
基礎知識56点3月・直前標準
商法20点3月軽め
基礎法学8点2月軽め
表2: 科目別の優先順位と学習開始時期

計画が崩れたときの立て直し方

月別スケジュールを紹介する記事で、ここを書いているものはほとんどない。でも、多くの受験生が一番困るのは「計画通りにいかなくなったあと」だ。

調整方針具体的な動き方
商法を最小化テキスト全体ではなく頻出分野(株式会社の機関・株式)に絞って1週間で処理
基礎知識は並行処理情報通信・個人情報保護は4〜5月の過去問演習と並行して対策する
模試を1回減らす10月予定の3回を2回に減らし、その分を弱点科目の復習に充てる
表3: 計画崩れトリアージ ── 1ヶ月遅れたときの対処法

「何を捨てるか」より「何を薄くするか」という発想で調整すると、計画が崩れても立て直しやすい。

「捨て科目」を作るかどうかの判断基準

「商法は捨てていい」という情報をよく見かける。配点が低いのは事実だが、完全に捨てるのはリスクがある。判断基準は「合格基準点のクリアに必要な点数が確保できているか」だ。行政法・民法・憲法で安定して点が取れているなら、商法で0点でも合格できる計算は成り立つ。ただし「完全に捨てる」より「最小限だけやる」が現実的だ。

計画が崩れる前提で組む


仕事が忙しくなる、体調を崩す、家庭の事情で勉強時間がゼロになる週がある。それは前提として起こる。問題は「崩れたこと」ではなく、「崩れたあとどう動くか」だ。

2026年受験を目指すなら今月からやること

試験日(2026年11月8日)から逆算する

2026年の行政書士試験は11月8日(日)だ。今が5月であれば、試験まで約6ヶ月だ。12月スタートの1年プランと比べると、「基礎期のインプット期間」が短くなる。

5月スタートは間に合うか

合格に必要な学習時間の目安は800〜1,000時間とされている(資格スクエア・アガルート等)。5月スタートの場合、試験まで約6ヶ月・週7日換算で1日5時間弱の学習が必要になる。社会人にとってこのペースは相当ハードだ。

現実的な対処としては、以下の調整が考えられる。

  1. 民法・行政法に集中してインプット期を短縮する: 商法と基礎知識はアウトプット期と並行で対策する
  2. 通信講座の活用を検討する: 独学より学習効率を上げることで、時間の不足を補える可能性がある

5月スタートで独学か通信講座かを検討している場合は、それぞれのコストと効率を比較してから決めてほしい。独学か通信講座かをまだ決めていない人はこちらも参照


よくある疑問

Q. 行政書士試験の独学ロードマップは、12月以外のスタートでも使えるか?

使える。ただし、フェーズごとの期間を試験日から逆算して短縮・調整する必要がある。基礎期は最低3ヶ月、応用期は最低4ヶ月確保することを目安にしてほしい。

Q. 過去問は何年分やればいいのか?

最低でも5年分、できれば10年分が目安だ。特に行政法と民法は10年分を3周が理想的だ。

Q. 記述式の対策は市販の問題集が必要なのか?

必ずしも必要ではない。過去問の記述式問題を繰り返し解くことで基礎力はつく。択一式の正答率が安定してきた段階で、市販の記述式問題集を1冊追加するのがコスパのいい使い方だ。

Q. 独学で合格した人はどれくらいいるか?

令和7年度の合格者数は7,292名、合格率14.54%(一般財団法人 行政書士試験研究センター)だ。独学での合格は可能だが、相応の自己管理能力が求められる。


スケジュールを見て「やれそう」と感じる人と「厳しい」と感じる人がいると思いる。どちらの感覚も正しい。大事なのは、自分の状況に合わせた計画を組むことだ。

勉強時間の確保方法についてはこちらで詳しく整理している。学習方法を独学か通信講座かで迷っている場合は、費用と時間の両面で比較した記事もある

スケジュールが固まり次第、使う参考書も選んでおく必要がある。2026年版の主要テキスト・問題集を選び方の軸から比較した記事も参照してほしい

-学習法
-, ,